勝手に「トリビュート」-The Time Machine-

タイムマシーン

昔よく観ていた「楽しいムーミン一家」でムーミンパパがミシンと時計を同時に修理したら、一つの機械が出来上がりそれはタイムマシンだったという話がありました。なぜかずっと忘れられなかったエピソードの一つで、その時の機械のデザインもカッコよかったなと記憶していたので、形にしたいと思い描いたものです。何かを作成するとき、全くのゼロからではなく「こういうの」作ろう、「こういうの」作りたいなということがほとんどではないでしょうか。その時「こういうの」にどれだけ影響されたかを、自分なりにどう捉えるかも大事だと思います。

「パクリ」じゃなくて

何かを見て、自分なりに何かを感じて創作意欲が湧いて作品にしたり、日々の仕事に落とし込んだりは多くの人が意識的、無意識的に行っていると思います。他の作品や考え方を元にオリジナルの新しいものを作る概念で「トリビュート」「オマージュ」「サンプリング」「インスパイア」という言葉があります。

「トリビュート」

トリビュート (Tribute): トリビュートは、敬意を表すために作成された作品やアクションを指し、あるアーティストや作品に対する敬意や賛美の気持ちを示すために、他のアーティストが自身の作品を制作することなどです。トリビュート作品はオリジナル作品のスタイルや要素をに敬意を表しながら、自分のアイデアを加えたものです。「トリビュート」という言葉を使う時はなんとなく公式感が漂っている気がします。今回作成したタイムマシーンのイラストは公式でもなんでもないながら、勝手に「トリビュート」としました。

「オマージュ」

オマージュ (Homage): オマージュは、特定のアーティスト、作品、時代、スタイルに敬意を示すために制作された作品や要素を指します。トリビュートと同様に、オマージュも敬意を表す目的で作成されますが、より深いリスペクトと感謝の意味合いが含まれることもあります。なんとなく思い出や、強い思い入れを表すときに使用する言葉のような気がします。

「サンプリング」

サンプリング (Sampling): サンプリングは、音楽や映像などのコンテンツで、他の作品から一部を引用して自分の作品に組み込むことを指します。音楽の場合、別の曲から音楽の断片を取り出して再利用することで、新しい楽曲を作成することがあります。

90年代に音楽を聴き始めた私にとって「サンプリング」は身近なものでした。音楽そのものはもちろん、CDジャケットなどのアートワークにまでどうセンスよく「サンプリング」を組み込むか、分かる人には説明不要で伝わる感じがとても良くて、自分が影響を受けたものに新たな価値を乗っける行為にはリスペクトを感じます。「サンプリング」を「パクリ」と否定的に捉える方もいると思いますが、元ネタが今の時代ではあまり耳にすることが少なくなったものだったりするので、「サンプリング」を通して新たな知識を得ることができるので、目や耳にする人にとって凄く有益なことだと思います。

「インスパイア」

インスパイア (Inspire): インスパイアは、他の作品やアイデアから刺激を受けて、自分の創造性やアートに取り入れることを指します。何かからアイデアを得て、それを元に新たな視点やアプローチを加えて新しいものを生み出すプロセスで、ただのきっかけだけでだったりします。

いずれの概念も根底には本当に良い物は色褪せないという深いリスペクトがあり、着想として説明するための言葉としてどれを選ぶかは人それぞれということで。

「サンプリング」した猫のイラスト